この赤ずきんちゃん、結構動じなくてたくましいのです。
飯野和好さんの絵にしては、可愛い赤ずきんちゃんなのですが、はかなげな女の子というより、大地にすっくと立っている自然の中の子どもという感じ。
お話も、必要な言葉だけを選んで書いたかのように、淡々と進みます。
ところが、赤ずきんちゃんがおおかみに食べられるところだけは、妙にリアルで大迫力です。
この絵がこの本の最大の見せ場というくらい凄い絵です。
このクライマックスを越えると、また、たくましい赤ずきんちゃんが登場します。
だって、助けられた時の言葉が、「おおかみのおなかのなかって まっくらなのね!ほら、おばあさんも まだげんきよ」という冷静なものなのです。
おおかみにだまされて、食べられてしまい、九死に一生を得た子どもというより、おおかみをやっつけるために、ちょっと活躍してみましたという雰囲気さえ漂わせている赤ずきんちゃんなのでした。