非常に不思議な作品です。取り立てて説明があるわけでもなく、唐突に小さな物体が「もこ」と誕生し、少しずつ変化を辿りながら、また最初の状態に戻ってくるのです。
子どもたちとしては、シンプルな絵に添えられた不思議な効果音を面白がり、最後までたどり着くとまた最初に戻り、延々読み続けています。読んでいる大人としても、このループに妙に惹きこまれるのです。
よくよく考えてみれば、シンプルにループするこの作品の中には、生命の誕生、成長、進化、弱肉強食、輪廻といった人間の根幹に横たわる壮大なテーマが込められているように思えます。そのため、この作品は子どもたちばかりでなく、我々大人にも、何とも形容し難い不思議な感覚を呼び起こすのではないかと考えるのです。