1954年の『百まいのきもの』の再版だそうですが、差別問題でもあり現在に通じるjいじめ問題でもあり、意味深い物語だと思いました。
ポーランドからの移民であるワンダ。
いつも色あせた青いドレスを着て、泥で汚れた靴を履いているワンダは、学校ではまるで存在感がありません。
この話は、ペギーとマデラインの二人の少女を通して書かれています。
この二人の行為は無意識ないじめでした。
二人にとって、ワンダは負としての存在感がありました。
ワンダが言った「自分の家には百枚のドレスがある」という言葉がいじめを執拗にしてしまいます。
ワンダが不登校になった一因でもあるのでしょう。
一方、移民であること自体が、ワンダ一家の過去を暗くしているようです。
言葉の問題、生活環境の問題、ワンダ一家は差別されているという被害者意識をもっていました。
一家はより住みやすい場所を探して引っ越して行きました。
ペギーとマデラインが無意識に行っていたいじめ。
この物語は、二人がワンダに嫌われていなかったと思うことで終わります。
ホッとする部分ですが、反面これで良いのだろうかという思いが残りました。
二人がワンダと直接会って話す機会は生まれなかったのですから。