今年(2020年)の、小学校低学年の部の「課題図書」に選ばれた作品。
びっくりしたのは、大相撲の「よびだし」さんが絵本のテーマになっていること。
大相撲でいえばやはり横綱とかのお相撲さんに光があたって、「よびだし」さんはかなり地味な印象がある。
その「よびだし」さんになりたいという少年の成長する姿を描いて、本のジャンルでいえば「絵本」には違いないが、大人でも十分楽しめる一冊になっている。
この絵本が「課題図書」に選ばれて、多くの子供たちに読んでもらえるなんて、素晴らしい。
この世界にはどうしても光があたってしまう人がいる。
例えば、相撲でいえば横綱。とっても強い人。誰もがあこがれる。
だけど、横綱だけで相撲ができることはない。
あれだけの興行をするには、横綱のような光だけでない、もっとたくさんの人のがんばりがあるからだ。
「よびだし」さんもそんな一人かもしれない。
でも、この絵本を読んだら「よびだし」さんもかっこいいと思うのではないだろうか。
この絵本の主人公の少年も「よびだし」さんに憧れたように、ちょっと見方を変えれば、光があたっていないところにもまぶしいような光があることに気づくはずだ。
つまり、この世界は多様なものでできているということだ。
そのことを「よびだし」さんになっていく少年の姿を描いて教えてくれる、この絵本は感動的な一冊だ。
そして、「課題図書」でこの絵本に出会えた君は、幸せだ。