図書館の中に、のっしのっしと入ってくるライオンの後姿。娘は、まん丸目玉で私の顔を覗き込みながら、もうすでにドキドキしています。この後ろ姿には迫力があり、百獣の王の貫禄が伝わってくるのですが、図書館への出入りを許され、いざ自由に行動し始めると・・・その仕草と表情のかわいらしいこと! まるで猫のようです。
そして、ストーリータイムが終わり、もっとお話を聞きたかったライオンが、“RAAAAHHRRRR!”と泣き叫んでしまう場面では、娘もいっしょに大笑い。本当に大きな駄々っ子みたいですね。館長のミス・メリウェザーに叱られて、上目遣いにしょんぼりしている表情も、とってもかわいい。
娘も図書館のストーリータイムが大好きで、夏休みの間は毎週通っているのですが、この街の図書館にもライオンが来てくれたら楽しいだろうな、と想像してしまいます。
図書館のお手伝いを覚え、みんなの役に立ち、みんなにも慕われて、自分の居場所を見つけたライオンでしたが、ミス・メリウェザーを助けるために、図書館の決まりを破ってしまい、自ら図書館を去っていきます。まるで明かりが消えたような図書館・・・。いつのまにか、ライオンは図書館になくてはならない存在になっていたんですね。
でも、最後はちゃんとハッピーエンドが待っていましたよ! ライオンが戻ってきて、うれしさのあまり、駆け出す館長。マクビーさんの注意にも耳を貸さず、走ります。娘も、やっぱりここが1番のお気に入り。「“No running!”って言ったのに、聞かないで走ってっちゃったところが、1番おもしろかった!」と、興奮しながら言っていました。
“Sometimes there was a good reason to break the rules. Even in the library.”の一文には、大事なことがいっぱい含まれていますね。ライオンと、ミス・メリウェザー、それに子どもたちの、喜びに満ち溢れた顔が、すべてを物語っていると思います。とかくルール、ルールと押し付けてしまいがちですが、規則を守ること以上に大切なことがあることも、子どもにしっかり教えてあげたいな、と思います。
(編集部注:洋書版「Library Lion」に寄せられたレビューです。)