さみしそうなおじいさん、頭のないかかし…なんともいいようがない荒涼な雰囲気に、最初は心が沈みそうでしたが、読んでいくうちに、おじいさんの表情にやわらかさが現れ、かかしにも生命が与えられたようで、さらに、若者の登場と、少しずつ心の雲が取り払われていくのがわかりました。
かかしに頭をつけ、洋服を着せていくおじいさんには、相手を思いやる気持ちが芽生えていったんですね。そして、若者が現れたことで、そんな優しい気持ちを本当の人間に向けることができたんだと思います。おじいさんが一人ぼっちのままじゃなくて、本当によかった!とつぶやきそうです。
生きていくなかでの幸せの形を、この本から見つけ出すことができた気がしました。