表紙を見たらあら不思議、電車が地面の穴から出てきていますよ。トンネルが地底にあるのかしら。それとも、電車がかえるみたいに冬眠からさめたのかしら。
びっくり不思議な電車がたくさん載っています。ゆったりとしたリズムのいいことばで紹介されています。
「ゆっくり のんびり おさんぽ でんしゃ」
「ひとりのりの ぜいたく でんしゃ」
「かぶとむし でんしゃが ゴトン ゴトン」
「えんとつ たてて ラーメン でんしゃ」
「はるの よる でんしゃも しずかに だっぴする ほら ペンキぬりたて はるでんしゃ」 …ね、おもしろいでしょう。
井上洋介さんの絵のタッチ、勢いがあります。楽しくて楽しくて、子どもが夢中になって描いたような感じ。きっとご自身、子どもの頃からこんな風に描かれていたのかもしれませんね。
家や車、人物、虫や木の描かれ方も、無理なく無駄なく、「ここにあるのは当然でしょ」といった感じ。ここにも勢いを感じます。
電車が大好きな息子(購入時1歳10か月)は大喜びで、、毎日毎日リクエストされました。
それからしばらく経って、ある日のこと言ったことばは、「ザリガニって脱皮するんだってー 『でんしゃえほん』みたいじゃないか」。
近所の田んぼの用水にザリガニがたくさんいるのですが、おじいちゃんかおばあちゃんに「ザリガニは脱皮する」と聞いたようです。それ以前にこの絵本で「だっぴする」ということばを知っていたんですね。
ひとつの動詞がこんな風に記憶に残っているとは …びっくりすると同時に可笑しくなりました。だって脱皮するのは「でんしゃ」なんだもんね。
電車を紹介している絵本は、写真のものなどたくさんありますが、こんな愉快な電車カタログもいいですよ。ほんとにあったらいいのにね。