現代の生活を大変便利にしてくれている素材:プラスチック。
様々な場面で手軽に、安価に、便利に使われている反面、環境汚染・自然破壊などの原因として槍玉にあげられる。
そのプラスチックの種類、製造方法、開発の歴史、性質、簡単な実験などを紹介する絵本。
実は、多大な恩恵を受けながらも、あまり良いイメージがなかったプラスチック。特に、海洋汚染(海の生き物が誤食・誤飲して死んでしまうなど)の報道を見てからは、悪者みたいに思っていた。
しかし、実際には、プラスチック自体が生き物を殺してやろうと思って行動しているわけではない。便利に使った後、人間が安易にそのへんに投げ捨ててしまった結果、いろいろな方面に大迷惑をかけているのだ。
道端にプラスチックごみが落ちているのを見かけるたびに、どうにかならないかと思い、心が痛んだ。
しかし、プラスチックという素材は、人間が便利に生活するために多大な貢献をしてきたといえる。プラスチックが開発される前と後では劇的に生活が、社会が変わっているのが、この本の絵をみてわかる。原料である石油は、プラスチック以外のものもたくさん生み出し、世界中の経済を回している。この素材は、画期的な発明だったことがよくわかった。
だから、長年地中にうずもれていた石油というスゴイ存在に対して、もっと敬意を払って扱ってもいいのではないか?
私は、ビニール袋を何度も繰り返し使っているが、破れない限りは相当長く使えるのを経験している。レジ袋は、何度も使っていると表面のロゴ(印刷)がはがれてきて、ずいぶんくたびれてしまうが、使用するのには差支えがない。ペットボトルも、水筒や保存容器に使っているのは、何年目になるだろうか。なかなか丈夫で壊れない。
きっとテイクアウト用のカップや、食品のケースなども、何度も使えるものなのだろう。
また、生物が分解できるプラスチックもあるらしく、農業などで1年後には土に還る資材として研究をしているそうだ。
なかなか分解されたくないところと、分解して欲しいところと、適材適所で使えればよいのではないか、という筆者からの提案もあった。早くそういう素材ができて、普通に利用できるようになったら、いろんな問題が解決していくのかもしれない。
将来のこと、今の暮らしのこと、この素材がなかった昔のくらしのことなど、いろいろ考えさせられる一冊。