アイヌ神話の絵本です。
絵はいしくらきんじさんです。どちらかというと、表紙だけ見ると今風なタッチのイラストなのであまり昔話っポイ印象は受けません。
こちらもアイヌ神話の伝承家。研究者である萱野さんが再話されている作品ですが、神々しいアイヌの紙ではなく、二面性を持つ不思議な神さまが登場します。そして主人公はうだつの上がらない子持ちの中年男。
ただ、アイヌの英雄の昔話(神話みたいなもの):アイヌでいうところの「ユカラ」を語るのが取り柄の男。という、子どもたちにはちょっと引いてしまうような設定の人でした。
ただ、ここに登場する神さま、パヨカカムイという神さまの特性が面白かったです。
もともとは「病気をまき散らす神さま」でありながら、素晴らしい「ユカラ」を聞かせたことで、「病気を防ぐ神さま」となります。
あまり大きな見せ場はない話ですが、アイヌの文化に興味のある人には面白いと思います。