大変シンプルなストーリーですが、思わずくすっと笑ってしまいます。ストーリーは中表紙のイラストから始まっていて、主人公のひよことあひるのこが、どうして2羽一緒にいることになったのかが、さりげなくわかるようになっています。あひるのこがちょっとだけ先に生まれて、つぎにひよこ。ひよこ、って、生まれて最初に見たもののあとをついて回りますよね。そう思うと、なんだか、ひよこがあひるのこの真似をして歩くのが、なんとも微笑ましく、小さな兄弟の姿を思わせます。
あひるのこの真似ばかりしている、ひよこ。でも、出来ないこともありますよね..。この場面の「転」が、とても利いているんです。そりゃ当たり前だけど、でも、あ〜あやっちゃった、そりゃそうだよねえ〜〜、みたいな。例えば2歳くらいの子供たちが、大人の目から見ると『ゼッタイにムリ」なことに果敢にチャレンジしてゆくことってありますよね。それでやっぱり失敗して、ほーらいわんこっちゃない、って苦笑させられてしまう。あの感じをほんわりと、絵本にしたのがこの本です。幼い子供たちでも、体験を下敷きにしてどっぷり、お話の中に浸かれるでしょうね。
愛嬌のある絵柄で、ピンクの花やちょうちょの大群が場面をとてもぽかぽかした、朗らかな印象にしてくれます。素直であたたかな、優しい気持ちになれる絵本です。