パレチェクならではの、本当に美しい絵本です。
たくさんの色を使っているにも関わらず焦点がぼやけず、まさに色彩の魔術師のわざに魅了されます。
必要な時にしか働かず、自転車の曲乗りの練習ばかりしてるイグナツを、町の人は良く思っていません。
だけど子供たちからは羨望の的。
イグナツは生きるために必要な最低限のことがらと、人生において大切な物事を真の意味で理解している人だと感じました。
自分が正しいと思う事柄を毎日忠実に実行し、決して欲深くなく、他人に迷惑をかけず・・・なんでもないような日常が、実は大切でかけがえのないものであるということを、イグナツが教えてくれています。
本当は、イグナツの生き方は、子供よりも大人が憧れる生き方なのかもしれません。
上だけ読むと子供には難しいように思えますが、この本は子供と大人とでは違う受けとめ方ができるので、長く親しめる、心に響く絵本だと思います。