この『みしのたくかにと』は、2022年1月に亡くなった児童文学者の松岡享子さんが、
1972年に刊行された作品で、発表当時は「みしのたくかにとをたべた王子さま」でした。
その作品がタイトルを変え、新たに刊行されたのが1998年ですから、
長く読み継がれている童話といえます。
このお話を知ったきっかけは、
<スーパー書店員>である森田めぐみさんの『書店員は見た!』という本で、
その中で、森田さんが子育てに悩む人への一冊として
この本をすすめていたことから。
なんといっても、このタイトル、『みしのたくかにと』が気になります。
どういう意味? って、誰もが思うのではないかしら。
ヒントは、昔の読む方。
昔は横書きの文章って、右から左に読んでました。間違って、そんな風に読んだのが王子さま。
今の読み方にすると、ね、「とにかくたのしみ」ってなるでしょう。
ある国の王子さまがとっても窮屈な生活を強いられていて、
たまたま村に出向いた時に「とにかくたのしみ」と書かれた立て札を見つけます。
でも、王子さまはそれを反対から読んでしまったのです。
「みしのたくかにと」って何だろう。
この立て札を立てたのは、村のふとっちょのおばさん。
何かわからないタネを見つけて、育てていたのです。だから、「とにかくたのしみ」。
このおばさんのおかげで王子様は元気になるお話。
子供には無理強いはしない、自由にさせるのが一番、
それでどんな大人になるか、「みしのたくかにと」。