部屋に飾っておきたくなる、素敵な絵表紙だなあと思い読み始めました。それが、あの懐かしいVictorのロゴマーク、蓄音機と犬にまつわるお話だったなんて。子どもの頃、いつも目にしていたロゴマークに、こんなにも深く感動的な背景があったことを、初めて知りました。
幸せな家族が、主の死によってばらばらになってしまい、主の弟に引き取られた犬のニッパーも、元気がなく、ふさぎ込む日々…。そんなある日、懐かしいご主人様の声が聞こえてきたのです。声のもとに駆け寄るニッパー。そこには、一台の蓄音機がありました…。
今まで、特に意識することもなく見てきたロゴマークが、この絵本を読んだあとに見ると、蓄音機の前にちょこんと座り、耳を傾けているニッパーの姿が、とても可愛くて愛しくて。そして、これがきっかけで、ばらばらだった家族が、またもとのように、みんなで一緒に暮らせるようになるという素敵な物語が、温かく心に沁みてきます。
ご主人に愛され、ご主人を誰よりも慕っていたニッパー。家族みんなの温かで穏やかな暮らし。日々を丁寧に紡いでいたならば、困難なことが起きたとしても、きっとまた前を向いて歩き出せる日がくるのだと、ニッパーが教えてくれているような気がします。今日この時の生き様が未来に繋がっていくのだと…。
今日も、笑顔で穏やかに過ごせますように。