この絵本を読んでいると、家族そろって、朝から食事ができることは、素晴らしいことなんだと気付かせてくれます。でも、現代においては、それはそれは贅沢な時間。
朝は、まさに時間との戦いで、とてもとてもこのように素敵な食卓は囲めないけれど、それでもやっぱり、こういう世界がかつてはあったのだろうなぁ〜と想像してみるだけでも、心がほんわか、あたたかくなります。
それにしても、この絵本を見ていると、ねずみさんたちのそれぞれの性格が、手にとるようにわかってきます。子供たち一匹一匹、というより、ひとりひとりがいつもながら、とてもいとおしく思えてきます。そしてもちろん、おとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさんのあたたかな包み込まれるようなまなざしも、いつも顕在で、その姿を見ていると心が救われる思いがします。
野に咲くほたるぶくろのピンクと食卓に並んだのいちごの赤がとても印象的な、心がほのぼのとして、豊かにもなれる、そんな絵本です。