読んでいる間中、私は小4の木下だった。感情移入とも一体感とも違うが、私は木下として、周一・ひとみ・大我とどう向き合うのか、それより先に自分の気持ちにどう向き合うのかを考えていた。
大人になってから児童書を読む時、親の立場であったり、周辺の登場人物の立場で読んだりと、主人公として物語の世界の中に存在することができない時がある。
でも、今回は違った。私は間違いなくこの物語の空間にいて木下だった。
読み終わった後も、ドキドキが止まらなかった。うまく言語化できる自信はないが、この本はぜひ紹介したいと思った。
タイトルが、『セイギのミカタ』だからといって、小さな勇気を出してみようなどという感想で大人らしくもっとらしくしめくくりたくない。
まずは、子どもが目につくところにそっと置きたいと思う。佐藤まどかさん ありがとう。