第67回青少年読書感想文全国コンクール小学校高学年(5・6年)年の課題図書に選ばれた作品。
タイトルの「サンドイッチ」と表紙のおいしそうなタマゴサンドの絵で、サンドイッチが何等かの形で関わってくる物語だろうと、多くの人が想像するかもしれないから、おなかをすかして読もうなんて思わないことです。
この物語のサンドはサンドでも「砂」のこと。表紙の絵もよく見ると、背景は砂っぽい。
主人公は中学受験を目指してダブル塾通いをしている小学6年生の珠子。彼女の通う塾で、いつも机の下を砂だらけにする変な子がいる。
その子の名前は、羽村ヒカル。
どれくらい変わっているかというと、大きくなったらアメリカの大統領になって世界中から戦争をなくしたいと思っているような女の子。
珠子と羽村ヒカルが仲良くなって、お互い呼び合うのが「タマゴ」と「ハム」だから、サンドイッチと関係なくはない。
ヒカルが変わっているのはほかにもある。
彼女は砂像づくりに夢中になっていて、葉真(ようま)という男の子と砂像作りを競っているのだ。
「砂像」というのは、砂と水だけで作る彫刻のこと。
ヒカルたちがしているのは公園の砂場を使っての砂像づくり。
受験にも今ひとつ燃えてこない珠子は、自分を変えてみたいとずっと思っている。
そんな時に出会ったヒカルと砂像づくり。
これは小学生最後の夏を、自分を変えるために砂像づくりに夢中になった素敵な女の子たちの物語だ。
きっと読み終わったら、インターネットで砂像の写真を見たくなる。