不思議な出来事が起こったり、とってもハッピーになれる結末が
待っているわけではなく、
あらしが来る前とその猛威、そして過ぎ去った後を淡々とつづった作品なのですが
読んだ後にまさに台風が去った後のようなすがすがしい気持ちになれる、そんな1冊。
まずページを開くと、文章だけ。
「男の子が、ゆらゆらゆれるかげろうをみています。
小さな毛虫が、砂をかぶった草のへりを、のぼったりおりたりしています。」
と、男の子のおうちとその周辺の様子を客観的に伝えます。
1枚ページをめくると、見開き2ページにわたって絵が広がり、文章はなし。
最後までこのパターンで、絵と文章が同じページに載ることはありません。
文章を読むと光景が目に浮かび、その後絵を見ることで
あらしのイメージがより確かなものになる気がしました。
「きんぽうげはまっすぐにのび、黄色い花のうつわに、
澄んだしずくをだいて、ひかっています」
自然の描写のしかたがとても素敵ですし、
マーガレット・ブロイ・グレアムさんのイラストには
有名な「どろんこハリー」等とはまた違った味があって
あらしの真っ只中のシーンなどは迫力があります!