「あな」という題名と、谷川俊太郎さん作ということで、もっと不思議な世界が広がるのかと思ったのですが、意外と分かりやすかったです。とはいっても、ひたすら穴を掘っていくひろしの姿に、想像力をかきたてられる本です。
なんで掘っているの?
この穴どうするの?
と、見に来たみんなも読んでいる私たちも気になります。
そんな中で、お父さんだけは「あせるなよ、あせっちゃだめだ」「なかなかいいあなができたな」と声をかけてくれます。こんな言葉をかけられるなんて、きっと、このお父さんも子供の頃同じように穴を掘ったんじゃないかしら??と、密かに思いました。
最後に、「ゆっくりあなをうめはじめた」という文でお話を終えると、3歳・6歳の子供たちから同時に「なんで〜!」の声。「ゆきこが言うように、水を入れたらいいのに」「せっかく掘ったのに」など、いつの間にか、読んでいる子供たちにとっても大事な穴になっていたようです。