原題は<RUFF>。主人公のぬいぐるみの名前です。このラフくんが、ある日突然飛び込んだ家のぬいぐるみたちに、お誕生日を祝ってもらう話です。
作者のジェイン・ヒッセイさんには3人のお子さんがいると紹介されていますが、その子ども達がぬいぐるみやおもちゃと遊んでいる姿を、そっと見守って、このお話を書いたのではないかな、と思いました。ご自身の幼い頃の思い出も重なっているのかも。私も、こんなふうにして、ぬいぐるみや人形やおもちゃたちと遊んでいた、そんな懐かしい気持ちになり、手触りもよみがえります。いたずらに擬人化して教育的なメッセージを込めるのではなく、子どもの頃ならではの、想像と創造の世界が丁寧に描かれていて、好感度抜群です。
オールドベアの目をはじめ、それぞれのぬいぐるみたちの年季の入り方の描写もリアルで、本当に胸がきゅんとなります。