日本の昔ばなしなのに、なぜか西欧の臭いがする。
ページの中、お札の表書きや、境内の柿の朱色に、
暮れかける山中の薄明や、ひも握る山姥の手のカタチに、
黒く飛び散る蝙蝠!や、歪んだ顔映す池の蓮葉にカエル等々…。
山姥に追いかけられ、食われそうになる恐ろしい昔ばなしなのに、
どこか滑稽で、洗練された繊細な空気と、スピード感が漂う。
あぁきっと、金井田画伯の手による、版画の魔法にちがいない。
印刷ギルドか工芸か、アートのインクの臭いなのだろう。
それにしても三枚のお札の威力は、ふしぎだ。
便所戸がしゃべる?大川が現れる?砂山が現れる?
とっさの小僧さんのこころの有り様だと思うと、感慨深い。
自分だったら、さて何を念じる?…神さまー?仏さまー?かぁちゃーん!?
ああ六根清浄。感謝。