【あらすじ】
ぼくがラーメンを食べている時、となりのミケは。となりのみっちゃんは、そのとなりのたいちゃんは…ぼくがラーメンを食べている時に、同じ地球の上ではいったい何が起きているのだろうか。となりの、となりの…と辿っていく。
【感想】
タイトルは気軽な感じなのに、内容が予想以上に重たくて驚きました。
読み終わった後、頭がグルグルしてしまいます。哲学的な絵本です。
子どもが見ても勿論いいけども、年齢を問わずいろんな人に見てもらいたい。
これは、絵本という形をとった、哲学書というか、何か大事な事を伝えてくれているもののように感じられました。
同じ地球の上に生きているけど、私の近くの人、隣町の人、隣の国の人…と辿っていくと、同じ時間に全然別のことを体験しています。そして、この一瞬に思うことも全く違います。それぞれの人生を生きていることが、この絵本ではっきりとわかりました。
「あなたが、ワガママをして、ご飯を残したり、洋服を選り好みしている時に、アフリカでは飢餓でたくさんの人が死んでいるのよ」
という、どこかの親の言葉は、子ども時代の私には、全く空々しく響きました。
それは、「ワガママをしている子どもを黙らせる」ためだけに発せられた言葉であると、子ども心にしっかりとわかっていたからでしょう。
また、「いろいろな立場の人が、この世の中に、同時に存在している」ということを、実感できなかった私の幼さのためでもありましょう。
しかし、この絵本は、本当に直接的に、「同じ時間に、違う体験をしている人がある」ということが、実感としてわかりました。それは絵本の力もあり、また、人生経験を積んだためとも言えましょう。
大人こそ、絵本を読む時間を持ったほうがいいと、本気で思った作品です。