表紙にいっぱい描かれたヒガンバナが印象的です。
大正末期から昭和初期の時代を想定して、作者の実母とのエピソードを織り込んで紡がれたお話。
ふうは母子家庭の盲目の女の子。
お友だちと同じように、秋まつり用の着物をかあさんにねだるのですね。
懸命に生活する母子の姿が神々しいです。
藁草履を作り、売って、白糸を少しずつ買い求め、赤く染め、織って。
ふうも、一生懸命織るのですが、その感触が伝わってきます。
そして、ついに。
盲目の様子は、作者が丁寧に調べて描いたそう。
視線の動き、杖、ふうが感じた色が伝わってきます。
ふうの笑顔が愛おしいです。