2004年刊行。
牛や牛乳の歴史、酪農家の仕事、牛の成長や体のしくみ、講師を育てて牛乳を搾る方法などを教えてくれる学習絵本。実用書。
スズキコージさんの大胆でカラフルな絵が印象的。
牛の巨大さや、迫力が伝わってくる。
子どもの頃、牛乳はどうやってできるのか不思議だった。
うちは配達の牛乳を取っていたので(当時は瓶だった)、工場で作るような気もするし、「牛のおっぱい」という情報もテレビなどで入ってくるし、でも、どうやってもあんなに大量におっぱいがでるのが不思議だったし…
疑問に思いながらも、牛乳を美味しくいただいていたのを思い出した。
本書を読むと、牛の一生を通して、乳がでる時期はそんなに長くないことがわかる。
しかも、妊娠出産した雌の牛が子育ての為に出すものであるから、オスの牛はわりと早々にと殺されて肉になってしまう。
乳が出にくいなら、やはり肉になるし、乳が出なくなってきたら、やはり肉にされる。牛の一生は過酷だ。
人間が無理に贅沢しなければ、動物も自然環境も傷つかずに済むのになあ。
食べないことができないなら、節度をもつとか、足りるを知るとか、贅沢なものは贅沢だと自覚して滅多に食べないで「贅沢な感じ」をより味わえるように工夫するとか…
なんとかならないものかと思う。
他人にそういうことをやってもらうよりも、自分が、「牛乳は贅沢なモノだ」と理解して、大切に頂くようにしようと決めた。
大人も食育が必要だと、最近つくづく思う。
幸か不幸か、私はあまり牛乳を飲めない体質なので、毎日飲んだりしないが、たまに頂く機会がある時は、牛のことや酪農で働いている人たちや、牛に関わって生きてきたご先祖様たちのことを思い出して、大事に、感謝して頂こうと思った。
情報が多いので、読みごたえがある。
文字を全部読まなくても、絵を見て楽しむこともできる。
実用(学習)と楽しみと、両方できる素敵な絵本だ。