激流に飛び込んだガブとメイの決死の逃亡。
オオカミたちの迫るなか、ふたりで生きる希望をつかもうと、“みどりのもり”を目指します。
その道中、お互いがオオカミであることとヤギであることに悩み苦しみます。生き物を殺さなくては生きられないオオカミと、生き物を殺さずして生きるヤギ。当然、ガブが動物を食べてくれば、メイは嫌な思いをします。しかし、二ひきはそれすらも乗り越えて友情を保たなくてはなりません。そんな二ひきの姿も注目すべき。
そして、この6冊目の重要なメッセージ――「自分」の生きた時間に誇りを持てるよう生を全うすること。
メイが、雪山で空腹と寒さに打ちのめされかけ、ともに大切な時間を生きてきたガブに自分をエサとして差し出す場面は、ガブの友だちとして最後まで生を全うしようとするメイの強い思いを感じます。
そしてガブも、最後までメイのために生を全うしようと、追ってきたオオカミたちに立ち向かいます。
オオカミとして、ヤギとしてではなく、ひとりの「自分」として生きるガブとメイの強さに心を揺り動かされます。