面白そうだと思い、何気なく購入しました。
ちょうどその後、今年卒業する6年生へのはなむけの一冊を探している時に、ふとこの本のことを思い出しました。
ずっと昔に建てられた一件の家。偶然、ベルリンの壁が築かれることになる場所のすぐ近くに建てられたことにより、数奇な運命を辿ります。
平和な家族との生活、戦闘機が上空を飛ぶ中での生活、壁の建設と監視下での生活、壁が崩壊し、老朽化の進む家…
そして、奇跡的な巡り合わせにより、この家は修復され復活します。
私はこの絵本はただの「平和絵本」ではないと思いました。
兵士や戦闘機、ベルリンの壁のみに注目して、この本に、即、「平和絵本」のレッテルを貼り付けてしまうと、この絵本の持てる魅力が半減してしまうでしょう。
この絵本で注目すべきものは、どんなに時代や環境が変わっても、ほとんど姿を変えずに静かに佇み続けるこの家の在り方だと思いました。
これから時代の荒波に漕ぎ出す子どもたちに、いつまでも変わらない「私」を大切にしてほしいと思い、その願いを込めて6年生に読むことにしました。
派手な盛り上がりはなく、絵も同様におとなしい雰囲気の絵本ですが、子どもたちの心の片隅に残ってくれるといいなと思いました。