ポール・ギャリコの傑作が一冊の美しい絵本になりました。
私にとっては、学生時代に、電車の中で文庫本を読み、涙が出そうになって慌てて途中で本を閉じたという懐かしい思い出のあるお話です。
お話も絵も物悲しい雰囲気を十分に出していて、風の冷たさや白雁のすっきりとした美しさが伝わってきます。
ただ、戦争の凄惨なシーン(それさえも美しいのですが)が出てきたり、登場人物が暗い影を背負ったりしているので、小学生には難しいと思います。中学生以上からが良いでしょう。
最初に書いたように、本当に美しい絵本で、書物としてというより一つのモノとして宝物にしたくなるような本ですが、個人的には、絵本よりも文章だけのものを自分の頭の中で情景を描き出しながら読む方が、心に迫るものがあるような気がします。