ほのぼのアヒル家族の、うろおぼえなお買い物?
そう簡単に思い描いてはいけません。
これは、実に高度なボケ&ツッコミを練り込んだ、
出口かずみ新喜劇絵本です。
「なんだっけ?」 とボケて
「そりゃぁもう、〇〇で決まりでしょ」 とツッコミかまされ、
「あぁ、そうだった、そうだった」 と口では体裁とりながら、
腹の中のボケをずーる賢く 「確か・・・だったような」 とつぶやく。
しかもその時、すでに〇〇を買い終わっている絵だ。
時間を追い越すあざといボケが、次への明転となる。
ページいっぱいに描きこまれた絵は、実に楽しい。
とうふ屋、石材屋、くすり屋、店先のいろいろな手書きが妙に懐かしくて、
見ている側もついお買い物に参加したくなる。
いっぱい買った面白アイス、ずーっと後を尾けてくる謎のタヌキ、
なぜかジャジャーンと広がる小田原提燈やら、
家族各人各々の心の中の想像がポカリぽかりと
昭和の色の中に支離滅裂と発見のアンバランスが、新喜劇だ。
家族団欒で食べるアイス、食べながら父が広げる家電屋チラシ、
ん? こんなところにあったのか、買い物のきっかけが。
スッキリと同時に、何事にも後を濁さぬほのぼ家族の大切さを、
改めて考えなおした私でした。
ステキな新喜劇絵本、ほのぼの家族写真、
出口かずみ先生に、感謝。