こんなに表紙の不気味な絵本があるなんて…。でも作者は谷川俊太郎さん。何か深いメッセージがあるに違いない、と興味をそそられ、手に取りました。
子どもの反応は、「ひゃー!こわい!」で、本を読み終わるまでもありませんでした。仕方なく、私一人で読んでみたのですが…。
「なおみ」が日本人形でなく、子どものお気に入りのお人形だったら、と置き換えてみると、非常に理解できることがたくさんあります。我が家の娘も、「絶対このお人形がなくちゃ!」と来る日も来る日も遊んだお人形から次第に卒業し、もう遊ぶことはほとんどないのですが、今も手の届く棚の上に飾ってあります。そんな話をすることはないのですが、もうお人形と遊ばなくなってしまったことに、子どもなりにどこか罪悪感のようなものを感じているような気がします。でも、他のおもちゃと違って、誰かにあげたり、処分したりしにくいものですよね。いつか、「もう片付けようね。」と、物置の奥に人形たちをしまい、「子ども部屋」から「お姉さんのお部屋」に模様替えする日がくるのだろうな、と、母親としては寂しく思いますが、娘にとってはそれが子ども時代との決別のときになるのでしょう。その決意のような気持ちが、「なおみは死んだ。」と言わせているのだと思います。そして、また娘が子どもを持ち、母親になったとき、我が家の人形たちも、なおみと同じように命を吹き返し、その子どもたちと、母になった娘に話しかけてくれるのでしょう。
ぞくっとするような写真といい、話の内容といい、子ども向きとは言いがたいのですが…。