阪神淡路大震災から3年経ったチェロの大コンサートの様子を描いた、
絵本作家のいせひでこさんの『1000の風 1000のチェロ』の表紙の折り返しに、
こんな言葉が書かれています。
こころはひとつにできる/きもちはかさねあえる
阪神淡路大震災が起こったのは、1995年1月17日。
今年(2024年)、29年めとなるあの日を迎えます。
そして、この日はあの日被害にあわれた人や町への追悼だけでなく、
今年はまた新たなな悲しみと私たちは向き合うことになりました。
2024年元旦に能登半島で起こった大きな地震と津波。
雪が舞う寒さの厳しいなかを、今も多くの方が避難されています。
崩れた山、倒れた家、燃え尽きた町、めくれあがった道路、
そんな悲惨な姿を目にするだけでつらくなります。
阪神淡路大震災の時もそうでした。
倒れた高速道路、燃える町、倒壊した多くの建物。
あれからどれだけの時間が過ぎても、あれらの光景は目に焼き付いています。
このあとも、私たちは大きな震災を体験してきました。
東日本大震災、熊本地震、そして今回の能登半島地震。
そして、そのたびに人々は前を向き続けてきました。
「あたらしいあした」を信じて、歩き出しました。
いせさんはこの絵本であの時の大きな悲しみを前面に描くことはしませんでした。
描いたのは、それでも前を向こうとする人たちであり、
ともに生きようとする人たちの思いです。
この絵本は阪神淡路大震災から5年後の2000年に刊行されました。
そして、私は今回の能登半島地震で被災された人たちに届くように、再読しました。
気持ちは、きっと、かさねあえます。