たぬきの家族が、家の外で暮らし始める風景って、どんなものでしょう。
それもちょうど東日本大震災を身近に感じる風景の中で。
いせひでこさんには異色に思える作品ですが、実際の体験を形にしたかったのでしょう。
暮らしていた古屋のテラスにたぬきが現れ、子だぬきたちが現れ、たぬき一家の生活が始まります。
子だぬきたちの成長が愛おしく思えます。
子だぬきたちを残して母だぬきがいなくなるところに、子育て終了を感じます。
父だぬきも去り、やがて居なくなったたぬきたち。
古屋も壊されることになって、いせさん自身の生活も終了します。
多くの地震の記録とともに、イリュージョンのような気がしました。