2011年3月から1年余り、庭にくりひろげられた幻燈の記録、とあります。
いせひでこさんが、東日本大震災を機につけていた地震日記が、
自宅の庭に現れたたぬきのスケッチ記録となってしまったのです。
デッキに現れたたぬきを目撃した驚きとともに、
いせさんならではの深い観察眼が、たぬきたちの生態を活写します。
たぬきの両親と子どもたち、そして、長老?
そこで繰り広げられる「生きる」姿。
子育ての姿もありますね。
そして、両親たちの旅立ち、子どもたちの旅立ち。
差し込まれる地震の記録も、刻々と刻まれていきます。
いせさんとたぬきたちとの関係性もほほえましいです。
これらを「幻燈」ととらえた世界観に、宮沢賢治を感じました。