読み終えたあと、何かじんわりと、あたたかい気持ちになりました。どうしてこんな気持ちになるのかを考えてみると、やはり主人公マルちゃんとおばあちゃんの手紙に託した想いが、よく伝わってくるからだと思います。
マルちゃんの手紙にも、おばあちゃんの手紙にも、「ありがとう」という感謝の気持ちや、「会いたい」と恋しく思う気持ち、相手に元気になってほしいという気持ちが込められています。一通一通読むたびに、心があたたかくなるのを感じました。
自分自身のことを思い返すと、こんなふうに誰かを思いやって丁寧にやり取りをすること、最近はかなり減ってきたように思います。何でもスマホで、早くて便利なものが良い、というわけではないのですね。
また、もうひとつの見どころはおばあちゃんの素晴らしいちぎり絵。絶妙な色の濃淡を貼り分けた、その繊細さに驚きました。それでいて、絵本全体の可愛らしい雰囲気に、違和感なく溶け込んでいます。
本を閉じる頃には、大好きな人の顔が浮かんでくる、素敵な一冊です。