図書館で見かけ、絵の美しさに一目ぼれして借りました。
色づかいが本当に見事です。
素朴で丁寧で、自然の色の美しさがありのままに表れているようです。
華美ではなく、精緻でもなく、炊き込みご飯のようなほっとする味わい。
ふくろうのとぼけた表情がまた、いい味をだしているんです。
お話は日本の昔話でおなじみのものですが、
神話を思わせるようなおおらかさが面白く、筋を知っている大人でも引き込まれてしまいます。
2歳の娘の受けもばつぐんで、借りてきて以来毎晩のように「ヨンデ!」とせがまれます。
たくさんの色が混ざって、とうとうからすの羽根は真っ黒になってしまう……
というオチが分かるものか少し気にかかりましたが、なんとなく理解してるようです。
読み終わってから「あなただったら何色に染めてもらう?」と聞くと、
得意げに、自分のなりたい色を次々答えてくれるのが楽しいです。
一つだけ気になったのが、
色を染めてもらう前の鳥が出てくるページが、モノクロになっている点。
ふくろうも背景の木々もみんなモノクロで描かれてしまって、
染めてもらう前の鳥の、まっさらな白さが際立っていない気がしました。
それでも最近読んだ本の中でも特に印象深く、
ぜひ手元に置いておきたい本だと思いました。