この絵本はクマの兵士が剣を振りかざしてたくさんの木を切ってしまうところから始まります。そして、その行いが災いを生んで巡り巡って自分に返ってくるというストーリー。クマはだれのせいなのかを他人に問い続け、その結果「自らによるものだった」という耳を塞ぎたくなる不都合な真実が突きつけられてしまうのです。しかし、このクマの兵士はその事実を認め、自らの行いが生んでしまった災いに報いようと努めます。たとえそれが何年かかっても。
これってどこか私たちの生きる世界とも似ているように思えました。例えば、環境問題。自分が出してしまっている排気ガスやゴミは巡り巡って自然破壊や環境悪化につながっていますが、とても遠いようで自分のせいだとは思わず、誰かのせいにしてしまっています。本当は自分以外の誰かでなく、自分も含まれる自分たちのせいなのに。そんな時、このクマの兵士のように、過去の自分の行いを認めたうえで、これから自分のできることを小さなことでもやってみるのが良いのかもしれないなと思いました。
子供がどう読み解くかはわからないし、その時、その年齢での解釈や着目ポイントが変わりそうな絵本で、それが魅力の一冊に思いました。自分自身も次にまたこの本を読んだ時、どう思うのか何を感じるのか楽しみです。