先生としてではなく、私の母の体験として。
母は、この本を選んで買ったのではなく、毎月届く書店の選んだ新刊の中にたまたま入っていたそうです。
最初の感想は「何か微妙な話だし、今月はハズレだな…」とりあえず一度読んでみるか、という程度で私と妹に読んだところ、私たちは何度もこの本を持ってきて、「キツネが負けるシーンなんて怖くて見られないくせに、また読めっていうのよ」だったそうです。
今でこそ、よくある展開のように思えますが、子供向けの絵本の中でこんなにあっさりとキツネが死んで、しかも押し付けがましくなく「とっぴんぱらりのぷぅ」と終わるものはなかなかないのではないでしょうか。こういう悲しい結末の絵本も私は大事だと思います。絵本を通して幅広く色々な感情を体験して欲しいからです。同時に、悲しいものこそ子どもへどう伝えるかがとても重要だと感じます。このお話はとても悲しいけど、悲しいことをごまかしても誇張してもいないところが魅力だと思います。あまんきみこさんの愛らしい絵が妙にお話に合っているというか、悲しさをひきたてているというか…とにかく大切にしている絵本です。