まさにカバーの袖に書かれた「すべてのおかあさんと そのこどもたちに」に贈られた絵本です。
こどもを愛してやまない母性がこの絵本から溢れでています。約40ページしかない絵本のなかで、こどもはすぐに成長してしまいが、不思議なことに心のなかでは大河の流れのようにゆっくりと時は流れています。
年老いたおかあさんが自分の娘を思い出しているのでしょうね。
先日、実家に寄ったときに、母がわざわざ外にでで見送ってくれました。47歳になる私を角を曲がって見えなくなるまで送ってくれました。かつては、そんな母の気持ちを重く感じたこともありますが、今では感謝するばかりです。
アリスン・マギーの短い文章や単語のなかには、母親のたくさんの想いがつまっています。ピーター・レイノルズさんの絵は、どれもが温かく、親子を見守っています。読む人によって、あるいは読む時期によって、いろいろな想いをこの絵本から得ることでしょう。それをとてもしあわせに思います。
絵本のなかで母親は年老いた娘に、「そのときには、どうかわたしのことをおもいだして。」と語りかけています。父親である私のなかにも、母性的なものが流れているので、この母親の気持ちがとてもよくわかります。その一方で、「おれのことなんか忘れて良い。そのまま自分の道を歩いて行きなさい。」という気持ちが大きいのも事実です。
そんな母親と父親、母性と父性によって、こどもは成長していくのだろうと、あらためて思い返しました。