「きみがいま」と同じコンビの絵本。「きみがいま」は男の子が主人公だったけれども、この絵本はお母さんと女の子が主人公です。
なんてやわらかな色や絵、そして文章で、語りかけてくれるのでしょう。水色の表紙に、「Someday」の原題。赤ちゃんを抱き上げる若きお母さん。扉のページには、ピンク色の文字で原題が書かれています。そして1羽の羽ばたく鳥。ページをめくると、海辺の丘の上で大の字になって寝ている女の子の姿。
生まれたての赤ちゃんにキスをする幸せなお母さん。傍らには、紫色の花が飾られています。そしてお母さんにしがみつく時は過ぎ去り、自転車にも乗れるようになり、自分の世界を少しずつ、広げていくようになります。そして夜には、すやすやと眠りにつきます。
時には、ほの暗い森へさまよいこんだり、うれしくて、楽しくて、瞳をキラキラ輝かせたり。もっともっとと高みを目指したり。悲しみに沈んだり。そして遠ざかっていく娘を見送る日の訪れ。
いつの日か母となるかもしれない娘の姿。そうして娘も年老いていく。
我が娘も青春真っ盛りで、エネルギーに満ちあふれ、キラキラした瞳で毎日を過ごしています。母親として、うれしくもあり、また少し寂しくもありです。
最後のページ「わたしのいとしい子。そのときには、どうかわたしのことをおもいだして。」と、誕生の時のセピア色の写真と、その時と同じ花瓶に紫色の花が飾られています。この絵本は、寂しい心をやさしく癒してくれました。