亡くなった石井桃子作品を少しずつ読んでいます。
先に自伝「幼なものがたり」を読んだので、この作品も自伝的要素が強いように思いました。
ノンちゃんの知らない間に、東京にお母さんと兄ちゃんが行ってしまい、ショックを受けるノンちゃん。
「二年になったら」というお母さんの言葉を頼みに、「ニ年」になった今ようやく東京に行けることを楽しみにしていたのですからその落胆ぶりもわかる気がします。
鬱鬱とした気持ちでいたノンちゃんが木に登ると、いつの間にか雲の上に来てしまいました。
雲の上で出会ったおじいさんに家族のお話をするノンちゃん。おじいさんがノンちゃんに言ったことで印象に残ったのは、わんぱくな兄ちゃんよりも、優等生過ぎるノンちゃんの方が心配であるということ。
おじいちゃんは、ノンちゃん側から見た気持ちではなく、家族のそれぞれの立場から見た気持ちを教えてくれます。
大家族の頃は、処世訓といった大げさなものではないけれど、おじいさんやおばあさんが生きていく上での大切な術を教えてくれる役割を担っていたのでしょうね。
私もおじいさんから、いろいろなことを教えてもらっているような気になりました。
特に優等生の妹を持った兄ちゃんがひねくれもせずにすくすく育っていることにおじいさんが感心している点に興味を持ちました。