安房直子さんの作品が大好きです。
その作品の特徴の一つに、鮮やかな色彩があげられますが、このお話は、色がそれぞれメッセージを持って鮮やかに描かれていて、まさにその王道を行く作品です。
心を込めて作った最初の青い傘の色、あっという間に溢れていくたくさんの青い傘の色、またあっという間に入れ替わって街に溢れるレモン色の傘の色、そして最後に雨にぬれるあじさいの青い色。
文章だけ読んでも、頭の中に絵を描くことが出来るような美しさです。
そして、このお話は、心を込めて何かを作ること、作ったものを大切にする心を静かに、そして力強く訴えかけてくるのです。
結末の美しさに息を呑みながらも、少し物悲しい気持ちを残す、美しい作品です。