田口家で飼われているねこのおとみさんは九歳、犬のべんけいは三歳です。
その間に、人間のかずおくん七歳とまりちゃん五歳がいます。
おとみさんもべんけいも人間の言葉が理解できて、この二匹と二人はそのまま兄弟のようなのです。
九歳のおとみさんは、九歳だけあって知恵もあり、お月見でそろっていない食材をそろえる時の采配ぶりにはびっくりしました。
十二話収録されていて一日一話的にも読めますし、七夕、クリスマスなど行事ごとにも楽しむことができます。
べんけいとおとこさんのやりとり、おとみさんに何かを頼む時にかずおくんがかつおぶしなどおとみさんの好物を持って頼むところなど、クスッと笑えます。
時代背景は戦後の高度成長が始まった頃でしょうか。
まだまだ原っぱなどもあり、家族のやりとりにものんびりしたものが感じられました。
今の子どもに古いかというとそんなことはなく、古き良き時代の出来事でも今の子どもにも十分通じるところがあると思います。
絶版なんですよね。ユーモアセンスのある本なので、今の子どもたちが読めるように復刊していただけたらいいなあと思います。