科学に関する本を沢山書いていらっしゃる加古里子さんの作品なので、さぞかし骨太な本なのだろうと覚悟して挑みましたが、歴史にあまり詳しくない私にとっては、予想を上回る難解さでした。大仏がどのように作られたのかという科学的な観点からのみならず、建立に至るまでの長い歴史が、客観的に広い視野で描かれています。奈良の大仏さまはこれまで何度も見た事がありますが、こんなにも多くの危機を乗り越え、数多の人々の思いにより現在の姿を保っているのだという事を初めて知りました。日本で起きた数々の戦争や疫病を見守ってきた大仏さま。千年先も、平和な奈良の地に大仏さまがいらっしゃる事を、願ってやみません。