繊細な刺繍に惹かれました。
古布と刺繍で描かれた、アイヌの昔話だそうです。
アイヌ出身の作者だけに伝わるものがあります。
北の海辺の二つの村での出来事です。
下の台地ランペシカ・コタンに住むおばあさんが津波の予言をするのですね。
六代の人の世を生きてきたおばあさんが歌う予言歌。
そして、現実のものとなってしまった大津波。
当のおばあさんは祈りますが、津波に飲み込まれ、やっとのことでセミ神様に生まれ変わるのです。
天変地異をくぐり抜けてきた人々の思いを感じます。
セミの姿に、アイヌの人々の祈りが投影されているように感じました。
巻末に添えられた、作者のアイヌ生活もぜひ、知ってほしいです。
小学校高学年くらいからでしょうか。