数ある「うらしまたろう」の絵本の中で、1番読みたかったのが、この作品。他のどれよりも美しく、幻想的で、そして、もの悲しい・・・。夢(または人生)のはかなさが、透明感あふれる絵を通して、心の奥深くに伝わってきます。
娘も、最後のページを読み終えた瞬間に、「えっ!」と驚きの声をあげ、「なんで老人になっちゃったの? じゃあ乙姫さまは?」と聞いたまま、呆然とした表情で、前のページをめくり直しては、若者の太郎と見比べていました。
これまでにも何冊もの本で読んだお話ですが、この絵本で初めて、感覚的に、太郎が年老いたことも、長い長い時間が流れたことも感じ取ったのだろうな、と思います。
そして、2回目に読んだときには、「乙姫さまは、太郎が(玉手箱を開けたら)老人になっちゃうって、知ってたの?・・・どうして太郎に玉手箱をくれたの?」と、さらに玉手箱の謎に興味を深めたようでした。