この絵本を読むとき、息子はいつも、一緒に声に出してよみながら、そのままの動作を真似て楽しんでいます。「くさはら」をカサカサカサ!、「かわ」をチャプチャプチャプ!「ぬかるみ」をベタベタベタ!と渡って行きながら、自分もすっかり「クマがり」のメンバーになりきって遊んでいます。イギリスの「あそびうた」が元になっているというこの本、さすがに子供のこころを捉える力は相当なもの。オクセンバリーの柔らかな絵は、場面ごとのイメージを的確に伝えながら、それでいて子供たちの表情が極端な強さで描かれていません。登場人物たちも、あくまでその場面を構成する一部、という感じでさりげなく配置されているのです。このため、彼女の絵は読み手の想像力の飛躍を押さえ付けません。
物語の中に入り込むというよりは、物語がすっぽりと読み手を包むような絵本です。こんな絵本もあるのだな、と素直に感動しました。