子どもの頃に読んだ日本の昔話の中で、記憶に残っているのは、「いっすんぼうし」や「ももたろう」など、誰もが知っているものがほとんどなのですが、子どもが生まれてから改めて昔話の世界に触れてみると、「こんなにおもしろいお話がたくさんあったんだなあ」と、新しい絵本に出会うたびに感動しています。このお話もそんな1冊。
娘は、おばばの顔を見るなり、「悪者? “しょうぶのおにばば”?」と、聞いてきました。そう、「くわずにょうぼう」(端午の節句のお話で、ショウブとヨモギが出てきます)の鬼婆も、口が裂けていて、同じくらい恐ろしく、欲張り男を食べてしまおうと追いかけてきたんだよね。このお話も、とっても怖くて、迫力満点。ハラハラしながらも、何度も読みたくなるお話です。
でも、終わり方は、「さんまいのおふだ」のほうが、楽しいですね! それまでの緊張が一気に切れて、呆気にとられてしまうくらい、とんちが利いた結末になっています。
「便所の神様」というのも、なんともユーモラスで、可笑しいですよね。娘は、読み終えた後に、表紙の絵に戻って、「トイレの神様がいっぱいいる!」と、喜んでいました。そして、最もお気に入りのページもまた、「便所」のシーン。「ここが1番楽しかった!」
和尚さんと小僧の掛け合いも最高に面白く、「ふんどしをしめるって何?」「はや、って早くってこと?」などと質問しながらも、おもしろさは十分に伝わったようで、2度目からは、説明なしで、笑っていました。その日のうちに3回も続けて読んだ本。本当に子どもの心をつかむ何かがあるんですね。