この絵本が実話だと知って、ただただ胸を熱くしました。
コウノトリは、冬になると、南の国へ渡っていく渡り鳥なのです。
それができないとしたら、どのようにして年を超すのでしょう。
翼を銃で撃たれたメスのマレナは、クロアチアで保護されて年を越します。
伴侶のクレペタンは冬になると、仲間たちと南アフリカに旅立ちます。
別れ別れになる二人は引き裂かれる思いに違いありません、
そんな二人が、お互いの愛を失わず春になるとクロアチアで再会するということに、自然界の美談として崇高なものを感じました。
マレナが老衰で亡くなるまでの19年間、二人は66羽のヒナを産み育てたといいます。
離れてもマレナへの愛情を失わないクレペタンの純粋さに心打たれます。
マレナを保護する人の力を忘れてはいけませんが、このコウノトリの強い絆には感動しかありません。
絵を描いたチャールズ・サントソには「チャーリー、こっちだよ」の名作もあり、障がい者に向ける温かい気持ちが、読者を引きつける絵本だと思います。