ぼくのいちばんのなかよしは「クッキー」。毎日楽しく遊んでいます。魚釣り・木登り、二人でいるととてもうれしい。うちへ帰るとき決まって言うのは「さよなら。またね!」(明日もぜったい遊ぼうね!)でも、クッキーは引っ越してしまうことになってしまいました。なかなかそのことを言い出せなかったクッキーに、ぼくは腹を立てます。「なんだよ!ずっとずっといっしょにあそぼうねっていってたくせに!うそつき!」
怒ってベッドに潜り込む姿や、「どうしよう」と毛布をかぶって考える姿に胸が締め付けられます。子どもが出会う初めての「物思い」でしょう。毛布を投げ捨て「そうだ、てがみをかこう」と思い立つところは、よく考えついたねと、思わずほめてあげたくなります。
一晩かかって書き上げた手紙を、汽車の窓から身を乗り出すクッキーに手渡します。クッキーを後ろから支えるお母さんの手に愛情を感じます。この場面、なかなかです。
うちのこどもに読んでみたら、11歳の長男は黙り込んでしまいました。別れの切なさが感じられたのかな・・・。文章がとっても少ない本ですが、それだけに絵に力を感じました。