大きなサイズのこの本の表紙をめくると、たどたどしい筆跡で「もうちこくはしません…もうちこくはしません…」と気が遠くなるくらい書いてあります。もちろん英語で。こどもたちは、ここで「ん?」と思う。それ何て書いてあるん?と聞いてくる。そこで「もうちこくはしませんって書いてあるんよ」というと、年長さんくらいになるニヤリと笑いますね。
ジョン・パトリック・ノーマン・ヘネシーくんは、いつもいつも遅刻しています。その理由がふるってる。<ライオンが出たから><ワニがいて…>とくるわけです。自分が困ったことになったとき、こどもたちってこういう言い訳をするよねえ。どう聞いたってあり得ないじゃん!っていう。それを教室で聞いている先生っちゅうのが、ぎろり!と飛び出たもう震えるほど怖い目をしているのです。そして当然先生は激怒する「そんなばかな事、ある訳がない!」ってね。その罰に書かされた綴りが見返しページの「もうちこくはしません」なわけ。
こどもたちが突拍子もない言い訳をしてるのを聞いている時の私たちの顔ったらこの先生みたいなのかも…と思うと、それこそ震えてしまいます。でもこれはそういう大人の反省を促すような教条的な本ではないのです。
ジョン・パトリック・ノーマン・ヘネシーくんが綴り方を書いた所からがジョン・バーニングガムの面目躍如。学校に巨大なゴリラが出現してしまうのです。当然パニックになる先生。目は更に飛び出します。「早く何とかしろ!」と先生は怒鳴る。けれどジョン・パトリック・ノーマン・ヘネシーくんは悠々とこういって去るのです。
「そんなバカなこと。あるわけないじゃありませんか」