みんなと仲良くしたいだけなのに、薄気味悪がられているかっぱ。
かっぱの甲羅を手に入れたい男の悪巧みに騙されて、自分も人間になろうと思ったのです。
苦労して登った岩の上で甲羅干し。
甲羅が解けて人間になることを願えば、苦しみに耐えようと思ったのです。
手足体は岩に張り付き、身動きが取れなくなります。
体が風化して最後には岩にかっぱのめだまだけが残るのです。
それでもかっぱはだまされたと思っていないのです。
ここまでに疑いをもたないかっぱの心は哀れであり、不気味で怖いお話です。
体がなくなっても、かっぱのめだまは祭りで子どもたちが通りかかるとニタラニタラしてうれしそう。
だまされても人を信じきったかっぱ。
これも幸せなのだろうかとおもうのですが、可哀そう過ぎると思うのが先に立ちます。
奥深くて味わいのあるお話です。
井上洋介さんのどろどろした絵がお話を濃厚に描いています。