2005年出版の「ポッ・スットン」を読んで以来、虜になってしまった野坂勇作さん、1999年の作品。安直なタイトルに“やっちゃった系”の作品かなと思いましたが、ちゃんと読めば、終わり頃の夜の場面の色使いや、まさにショッキングなオチは野坂さんらしく、微笑ましく読ませてもらいました。
身の回りや、自分の中に居そうな、人の困った顔を見て喜ぶイタズラものが、調子に乗っていたずらするけども、思いのほか他人の役に立ってしまうという結果的、人間万事塞翁が馬?と感じたストーリーですが、説教的や皮肉るものではなくて、素直にこどもが見て楽しむ作品だと思います。
絵は、「ポッ・スットン」の頃に完成されている野坂さん独特のタッチにはまだというところですが、それに至る過程と思われる荒いタッチがすごく新鮮で、貴重な作品に出逢えたという感慨に浸りました。
もっもっとレアな作品がないかこれからも探したいと思います。